隣町の調布では、水木しげるの命日である11/30を「ゲゲゲ忌」として、街全体で追悼イベントを行っている。亡くなってから毎年なにかやっているな、という程度しか知らなかったが、今年はアニメが50周年ということもあり、10日間ぶっとおしで映画館での上映会+アニメのキャスト、制作陣によるトークショーを行っていた。
【ゲゲゲ忌2018】アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」50周年上映会㏌シアタス調布 | 調布観光ナビ【調布市観光協会公式サイト】
という情報をチケット事前予約のギリギリ30分前に奥さんが偶然見つけて、ノリで応募したら取れてしまい、家族揃って見に行くことになった。取れたチケットはゲゲゲ忌ど真ん中、野沢雅子と古川登志夫のトークショーの回 である。
1期から6期までの第1話鑑賞会
イベントの詳細をまったく知らなかったのでこれを書きながら調布のサイトを見て知ったが、10日間のうち他の日は厳選された4本ずつの上映だった。ゲゲゲ忌当日は全部乗せだったので6本もあり、1〜3期を見て、休憩をはさみ、トークショーを経て4〜6期の上映というスケジュールだった。
上の子はもう小学生なので大丈夫だが、下の子がまだ2歳なのでさすがに集中が続かないだろう、トークショーの最中にぐずって退席になり後半は見れないだろう…と危惧していた。が、そんな親の心配をよそに大量のポップコーンを終始食べ続け、ゴキゲンで各回もこなし、トークショーも笑いながら見ていた。すさまじい体力と食欲。あと鬼太郎への情熱。
普段は劇場版を見ている
2歳児はいつもAmazonプライムビデオで鬼太郎を見ている。そもそも鬼太郎を見るようになったのは、散歩がてらに深大寺に行く、というのを毎週繰り返しているうちに鬼太郎茶屋にも行くようになり、家で「おかあさんといっしょ」をリピート再生し続けるくらいなら親も楽しめるほうがいいよね、という所からだった。
見るのは劇場版がほとんどで、よく見るのは妖怪軍団(最初の劇場版)と、最強妖怪軍団!日本上陸!!の2本。たまに大海獣とおばけナイターも見ているが、劇場版おばけナイターは最初が怖いので敬遠気味だ。
最初の劇場版は東映まんがまつりの1本として作られたため、24分と短い。話もチンポよく進むので見ていて楽しい。特に南方妖怪(CV滝口順平)が気に入っているようだ。
自身も妖怪になるべく、家でよく練習している。
第1話を通しで見た感想
各話が家で流れているのをなんとなく見ていたが、ちゃんと見たことがなかったのですごく楽しかった。OPからEDまで全部上映されたので、製作技術とか、時代背景も見比べることができた。こんな感じだった。
第1期
記念すべき第1回は「おばけナイター」。この頃はまだ妖怪のモチーフが決まっておらず、見た目の悪い人間っぽい何かが出てくる。OPに動物が歌っているシーンが出てくるが、この頃はこういう話のほうが多かったんだろうな…と想像させられる。町から墓場が近い。白黒。
第2期
自然破壊が進み、住む所のなくなった妖怪が…というストーリーから始まる。ゲゲゲの森の近くも造成工事が入る。鬼太郎が居候しているボロ屋が妙にリアルで、都会は開発されてきたが、少し郊外に行くとまだまだトタン屋根の家屋(ほぼ廃屋)も多かったのかなと思わせられる。なぜリアルに感じるかというと、今も実家の裏に似たような家があるから。
カラーになって見やすくなったが、放映時期が1期の2年後のため、技術的にはあまり変わり映えしていない。下駄は投げて使った。例に漏れず自分も「足跡の怪」のトラウマを経験している。
第3期
新宿をバックにモダンな歌謡曲のオープニングで始まる。歌っているのは吉幾三。エンディングも吉幾三。音も映像も格段に良くなり、FCからSFCにパワーアップしたかのよう。劇中の音楽も音の厚みが増えて刺激が多い(特に太鼓とシンセサイザーの印象が強い)。あと鬼太郎が強い。
第1話の妖怪城のボスはたんたん坊だが、2歳児は「画皮!画皮だね!」と呼んでいた。確かに似ているが髪の長さが違う。
ちなみに、画皮が出てくる最強妖怪軍団では、ストーリーに絡んでくる盆踊りの会場が新宿中央公園。この第1話で妖怪城が出てくるのもその近くである(ちょっと歌舞伎町寄り)。
第4期
4期も都市開発により妖怪の封印が解けて…という話。町の様子がなんとなく八王子っぽくなる。ぬりかべの声が勇者シリーズみたいになり、ねずみ男が千葉繁のためテンションが高い。4期はうちの子供に受けが良かったようで、2話の目目連をよくリクエストされる。プライム対象外になってしまったので最近はあまり見れていない。
第5期
劇場で始めて見た。近代化が進んで墓場が遠くなったのか、妖怪の街に行く方法が変わる(あるはずのない住所の道を繰り返し通りぬける)。同じ方法は10年前に制作された劇場版おばけナイターでも使われている。街の雰囲気が完全に現代になり、二子玉川っぽくなった。絵柄はかわいくなったが雰囲気は怖めで、鬼太郎も自己責任を突きつけてくる。
第6期
今やってるやつ。完全に今の東京が舞台で、第3期から想うと近未来に来た感じがする。その辺に墓地がない。1話を見た限りだと、キャラクターが更にかわいくなった分、より暗い雰囲気にした…ように思っていたが、他の話を見てみるとそうでもないような気がする。いろんな意味でファンサービスが多いが、聖地巡礼をみこして深大寺周辺がよく出てくるため個人的には嬉しい。
毎週のように深大寺に行っている子供にとってはなじみ深い。写真中央下段のキャラクターを見て「これは悪魔くん(に出てくる学者)」と指摘したり、鬼太郎茶屋の2階の展示で河童の三平も覚えて、今では歌も歌える。
トークショー
20〜30分ほどだったが、とても楽しかった。野沢雅子のIN MY WORLDというラジオをよく聞いていたので、本人が話すたびに「マコさんだ…」という感じになった(ラジオを初めて聞いた時は鉄郎…だった)。
野沢さんは1期2期で鬼太郎を演じて、その後離れてから50週年の6期で戻ってきたが、制作側からのオファーではなくオーディションだったそうだ。ねずみ男役の古川登志夫さんもオーディションで、3期の富山敬の大ファンで(ヤマトの古代進を見てこの世界を目指したとか)、演技を真似して練習して5期のオーディションを受けたけど落ちて、6期で合格できて本当に嬉しいとか、70歳を超えた大ベテランなのにそんな厳しい世界なのか…といろいろびっくりした。古川さんがしゃべるとカイ・シデンにしか聞こえない。
他にも、野沢さんが目玉おやじの役に決まった時に、すでに亡くなっている田の中勇さんに報告したエピソードに俺が涙ぐんだり、デパート屋上のキャラクターショーの第1号が鬼太郎だったり、50年も前だからきぐるみが重くて着れなかったり…という話を聞いた。あと調布パルコに水木先生が大福を買いに来てたりとか。
水木しげると俺
6歳くらいの時に鬼太郎・鬼太郎の妖怪旅行1、2を買ってもらって、家でよく読んでいた。鬼太郎には出生の話や水虎が載っていて、妖怪旅行の方には南方妖怪も出てくる。全体的に不気味だった。
小学5〜6年のときの担任が怪談好きの先生で、怪談が好きすぎて水木しげるに会いに行った、という話を学活の時間で聞かされたこともある。「水木先生は戦争で片腕をなくしている」ということもそこで聞き、どうやって漫画を描いてるんだ…!とざわついたりもした。
またこの先生には、授業でやることがなくなると理科室に全員連れて行かれ、遮光カーテンを閉め、ろうそく(またはアルコールランプ)を1つだけ灯して怪談を聞かされたこともあった。これが結構怖く、みんな緊張しながら静かに聞いていた。星新一も好きで読み聞かせてくれることもよくあったが、先生の趣味はだいぶ偏っていた。
6期版鬼太郎・猫娘と握手会
後半の上映会も無事に終えて、最後は握手会だった。猫娘の顔が不気味の谷に落ちていてちょっと怖く子供も緊張していたが、「鬼太郎しゃんと握手しゅる」と言ってしっかり握手してもらった。2歳だから記憶に残るかどうか…という感じもあるけど、すごくいい体験ができたんじゃないかなと思う。
映画館のホール入口で調布市の封筒を人数分もらっていた。帰宅して中身を見ると、ゲゲゲ忌関連のパンフレットの他に鬼太郎の住民票も入っていた。超必殺技。